エモエモ探検隊

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慶應卒のニートが主に食品のレビューをしています (※こちらのブログではアフィリエイトによる収益を得ております)

もともとタイヤメーカーの「ミシュラン」がどうしてレストランの格付けしとるんや??

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料理の格付けといったら「食べログ」かミシュランですよね!?

 

現在放送中のドラマ『グランメゾン東京』の登場人物もみんな躍起になってミシュランの「星」を狙っています。

 

でも、そもそも「ミシュラン」ってタイヤメーカーですよね、、、

どうしてタイヤメーカーがレストランの格付けをするようになったのでしょうか、
気になりますね

 

 

ミシュランは、1889年に兄アンドレ(1853-1931)と弟エドワード(1859-1940)のミシュラン兄弟によってフランスで設立されました。

当初は交換可能な自転車用タイヤを開発しており、自動車用タイヤには1894年に進出しました。

 

そんないちタイヤメーカーが、1900年のパリ万博に合わせて出版したのがミシュランガイドだったのです!

当時の『ミシュランガイド』は、自動車のドライバーのために無料で配布されていた冊子でした。

冊子には、フランスの各地の都市の概要や市街地図、給油所、修理工場やホテルの情報など、ドライバーに役立つ情報が399ページにわたって詰め込まれていたようです*1

つまりミシュランガイドは、ドライバーが楽しくミシュランのタイヤで遠出するよう促す販促グッズだったというわけなのです!!

 

ただ、1900年の創刊号ではレストランの格付けはまだ行われていませんでした。

 

▲旅行ガイドの側面は現在でも「グリーンガイド」として欧米圏では残っています。
ちなみに、上の写真の日本ガイド(第4版)の中で、各観光地が「星」いくつで評価されているかをミシュランのHPで見ることができます(ミシュランHPの該当ページはこちら)。

 

その後、1920年に『ミシュランガイド』は有料化に踏み切り、外部広告を排除することで公正中立な立場を確保できるようになります*2

1923年にはガイドの中でオススメのレストランが取り上げられるようになりました。

そして、1926年にはレストランを「星」で格付けするようになり*3、1933年に現在まで続く覆面調査員による評価法が始まったとされています*4

 

 

では、なぜドライバー向けの販促のガイドブックにレストランの格付けの要素が加わっていったのでしょうか??

 

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写真はイメージです。

「ベルエポック(美しき時代)」と呼び表される19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランスでは、車が普及し始めます。

そのモータリゼーションの到来によって、人々の関心は今まで向くことのなかった地方へと向かうのです。

パリの食通の間では車で地方に出かけて、その地の郷土料理を食べることがブームになっていました!

ミシュラン」創設者のアンドレ(兄の方)が参加していた美食クラブでも、各地をめぐり美食批評を行っていたようなのです*5

 

 

そんななかアンドレくんは、1900年のパリ万博に間に合わせるように急ごしらえで創刊された『ミシュランガイド』の出来に不満を抱いていたようです*6。 

 

「初版の内容はまだ不完全に見えるだろうが、今後毎年練り上げていく」

ミシュランガイド』創刊号の序文にあるこの言葉通り、アンドレくんはその後ガイドブックの完成度を高めることに情熱を捧げるようになったのです。

 

ホテルやレストランをどのような形で載せれば、利用者のニーズにかなうだろうか、、、

 

その試行錯誤の末にたどり着いたのが、
レストランを格付けして紹介しちゃえばよくない!?ということだったのです(こんなノリかは分かりません)。

 

ミシュラン 三つ星と世界戦略』を書いた国末氏によると、ミシュランの本領はガイドを生み出したことよりもその後の努力で洗練を重ねたことにあり、それによってガイドは後世に残るものになったと述べています。

 

 

地方での美食巡りブームという背景があったとはいえ、いちタイヤメーカーがレストランの格付けを始めて、世界最高峰の一家言持つ系男子になったなんて、なんか、シャレてますよね笑

 

 

わたしもね、まじめな記事を継続的に書くことで、一家言持つ系男子になろうと思…

 

あ!ミシュランマングッズだ!!

これきゃわきゃわ!! 

 これもきゃわうぃ〜ねぇ〜〜〜!!
 
 
(終わり)
 

▲現在放送中のドラマ『グランメゾン東京』関連の記事です。あわせてご覧ください!

 

《参考》

*1:国末憲人『ミシュラン 三つ星と世界戦略』を参照。

*2:八木尚子『フランス料理と批評の歴史 レストランの誕生から現在まで』を参照。

*3:1925年の説もあり。

*4:ミシュラン 三つ星と世界戦略』の国末氏によると、ミシュランは社史を持たず、創業者の手記や記録も公開されていないため脚色された逸話なども多数存在するみたいです。いつ覆面調査員が生まれたかについては「公式冊子」においても明言を避けられているようです。

*5:国末憲人『ミシュラン 三つ星と世界戦略』を参照。

*6:実際、創刊号の中身は自転車クラブで発行していた年報をパクって自動車利用者向けに作り替えたものだったようです(国末憲人『ミシュラン 三つ星と世界戦略』を参照)。