エモエモ探検隊

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映画『宮本から君へ』助成金取り消しの背景に表現の危機?

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渋谷ユーロスペースにて


先日、映画『宮本から君へ』に交付予定であった助成金が、出演者の不祥事によって取り消しになったというニュースが報じられました(
10月19日の読売新聞オンラインにて)。 

  

この出来事の経過は以下の通りです*1

 

今年の3月に「日本芸術文化振興会(以下、芸文振)」が、映画『宮本から君へ』を助成金1000万円の支援対象として選定

(芸分振は文部科学省所管の独立行政法人であり、政府からの出資と民間からの寄付金を元手にして、文化芸術活動を援助する団体です。)

しかし、6月にこの映画に出演していたピエール瀧氏が麻薬取締法違反で執行猶予付きの有罪判決を受ける。

7月に芸文振の理事長が、この映画への助成金不交付を決定

9月に芸文振は助成金の「交付要綱」を改正し、「公益性の観点」から不適当だと認められた場合交付の取り消せるという条件を追加。

 

といういきさつです。

 

 

芸文振は、ピエール瀧氏が出演していることで「国が薬物使用を容認するようなメッセージを発信することになりかねず、公益性の観点から交付内定を不適当と判断した」のだそうです。

 

 

『宮本から君へ』のプロデューサー河村光庸氏は、明確に定義されていない「公益性」による判断を認めてしまうと、恣意的な運用や検閲につながりかねないと指摘し、芸文振に抗議する方針とのことです。

 

 

なんでこんなことで一度決まっていた助成金の交付が取り消しになるのだろう、私は不思議に思っていたところ、次のような声を見つけました!

 

 

これらのツイートでは、『宮本から君へ』のプロデューサー河村光庸氏が、現政権に批判的な『新聞記者』という映画(2019年6月に公開された)にプロデューサーとして携わっていたことが指摘されています。

 

▼映画『新聞記者』の予告編

 

そして、『宮本から君へ』への助成金の不交付は、現政権にとって都合の悪い表現に加担した河村氏への当てつけだったのではないか、ということなのです。

 

 

「あいちトリエンナーレ」の騒動があった今、ツイッターでのこの指摘がありえない話ではないのかなと思っている自分がいます。

今回の「出演者の不祥事」という後付けのような口実の裏で、自由に表現する余地が奪われているのかもしれませんね!

 

 


 

ところで『宮本から君へ』制作側は、芸文振からピエール瀧氏の出演シーンをカットできないかと打診を受けていたようです。

 しかし、「完成した作品の内容を改変できない」としてその打診を拒否し、その後内定取り消しが伝えられたとのことです。

 

おそらく打診された時点で、助成金が取り消されることを制作側は想定しなかったわけないでしょう!

しかし、そこまでしてスタッフが守り抜いた作品『宮本から君へ』は現在絶賛公開中です!(劇場情報はこちら

この作品の熱量に触発されない人はいないはず!!

私も劇場で熱くなって、揺さぶられて、家で100回腕立てしました!

 

 

 『宮本から君へ』は連続ドラマ版もあります!

ドラマ版を観ておくと、より主人公「宮本」のキャラクターが分かるでしょう*2

 

現在、ドラマ版はAmazonのPrime Videoで観ることができます!(ドラマ版『宮本から君へ』はこちらから)

ドラマ版の松山ケンイチほっしゃん。がいい人なんです!

 

 

▲その暑苦しさから「日本で最も嫌われた」という伝説の原作コミックです!(全4巻)
ちなみに、この物語の主人公の名前「宮本浩」は、原作者の新井氏が好きだったエレカシ宮本浩次氏からとったそうですよ*3

 

《参考》

*1:以下、HUFFPOST「映画『宮本から君へ』の助成取り消し、交付要綱も改正。プロデューサーは「文化芸術にとって由々しき事態」と怒り」を参照。

*2:映画版はドラマ版の内容と独立したエピソードなので、映画単体だけでも楽しめるとは思います。

*3:maidigitv「池松壮亮、エレカシ宮本浩次のサプライズ登場に『鳥肌』 映画『宮本から君へ』公開記念舞台挨拶」を参照。